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2023.10.06

2050 Standard Houseプロジェクト 始動

日本の住宅の未来を考える

住宅が健康に与える影響を強く意識している海外では、冬の室内気温についてルールがあり、WHO でも18℃以上を強く推奨しています。
日本でも近年、健康のために住宅の断熱性能を高めることが常識になりつつありますが、まだ十分ではありません。

今、ノーブルホームをはじめ、多くのビルダーがこうした課題に挑戦しています。住宅の断熱性・気密性と健康について長年、研究を続けてこられた近畿大学の岩前篤教授に、お話を伺いました。

近畿大学副学長
建築学部教授 岩前篤氏
健康・快適でエネルギー性能に優れた住宅の有り様を研究している。
日本・アジア気候特性と暮らし方に基づく計画手法、ゼロエネ技術、健康維持増進技術を対象とし、NHK「クローズアップ現代」やNHK「あさイチ」にも出演し解説を行っている。

室温に関する世界の常識

たとえばアメリカ・ニューヨークでは、冬の夜の室温は13℃以上にしなければならないというルールがあります。ニューヨークに限らず他のまちでも同様の温度規定がありますが、日本ではどんな温度で暮らそうがその人の自由です。

なぜ海外ではこうした規定があるのでしょう?

室温と健康との間に相関関係があるからです。WHO(世界保健機構)が2018 年11 月に公表した「住宅と健康ガイドライン」でも、室内は18℃以上であることを強く推奨しています。リビングや寝室だけを想定した温度ではありません。玄関も廊下もトイレも含め、家の中全体の温度が18℃以上であることを求めています。それ以下であると健康を害するからです。そして、住宅はその温度を確保できる断熱性を備えるべきだと言っています。海外では、住宅が健康を向上させ、またその環境が悪ければ健康を損なうことが、ほぼ常識になっています。

日本の常識と住宅の現状

日本の古い住宅では、冬場の室温が10℃を下回る家が多くあります。冬に寒いのは当たり前だから、家の中でも服を着込むことで、暖房費を節約することがエコだという認識が長く常識になってきました。
日本でも省エネの観点からも家の断熱性を高めようと、2030 年に断熱等級5を義務化します。しかし、世界的にみたらその水準はまだ低いです。国の指針は手ぬるいとHEAT20(一般社団法人 20 年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会)が定めた基準でさえ、G2で概ね13℃を下回らない(断熱等級6)、G3で概ね15℃を下回らない(断熱等級が最高の7)というレベルです。日本の住宅の断熱性の現状が伺い知れます。
ただ、2018年に文部科学省が、子どもの健康を保護し、快適に学習するために、教室の温度は17~24℃が望ましいと示したように、室内温度と健康との関係が意識されるようになりました。高断熱の家に住み替えた人が、足の痛みや喘息、花粉症、目や肌のかゆみ等が改善したという調査結果もあります。

ライフタイムコストで住宅を考える

つまり、冬の室温を高く保ちやすい高断熱住宅は、健康に良い影響をもたらします。室内の温度が上がり、健康になって病気を患うことがなければ、医療費も安くなります。高断熱の家に住むことで、両親と子ども2人の家族の1年間の医療費が8万円抑制できたというデータもあります。
そもそも住宅にかかるコストを考えるとき、日本ではその建設費ばかりが注目されてきました。しかし、住宅のライフタイムコストで多くを占めるのは、光熱費等の運用費、設備管理等の保全費、修繕、税金や保険など家を建ててから掛かるお金です。昔の基準の住宅なら、どうつくってもさほどランニングコストに影響がでませんでした。

しかし、断熱性の高い家を建てれば光熱費が変わってきますし、維持費もそして医療費も変わってきます。今やライフタイムコストで日本の住宅の未来を考える時代なのです。

2050 STANDARD HOUSEプロジェクトとは

健康を維持向上させるためにも、日本の住宅性能をもっと高めて行こうと始まった取り組み「2050 standard houseプロジェクト」があり、ノーブルホームさんにもご参加いただいています。

このプロジェクトでは、目標をWHO が指針とする冬の室温18℃に置き、断熱性能を高めていくことはもちろん、パッシブ技術の最大限の活用について、あるいは蓄熱作用のある壁紙など新しい技術についても研究しながら、エネルギーの有効利用においても、経済性においても、2050 年において標準となるべき住宅を追求しています。
ユーザーの声を身近に聞き、現場での知識・ノウハウが豊富なビルダーの皆さんとこのプロジェクトを推進することで、日本の住宅の未来をつくります。