多様性をチカラに変える人々を紹介するシリーズ
ノーブルホームの多様性ある人々をご紹介する連載【多様性をチカラに】。今回、対外企画の第2弾として取材させていただいたのは、株式会社サイタコーディネーションの代表取締役であり、教育コーチング講師としても活躍する江藤真規さん。
前編では、コーチングと出会うきっかけとなった子育てへの悩みや、アメリカ滞在中に経験した、相手の意見を尊重する姿勢についてお話しいただきました。後編ではノーブルホームの営業部・門田と商品開発部・小沼とともに、子育てにおける住まいの大切さについて語っていただきました。
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株式会社サイタコーディネーション
家族が自然と集まる空間があれば、自然な対話が生まれる
ご家族の転勤に帯同し、アメリカでの生活を7年間経験された江藤さん。異国での子育てを経験したからこそ、日本の住宅設計に対する気付きもあったそうです。
江藤氏「子どもであっても“個人”を尊重するアメリカでは、乳幼児の頃から自分の部屋を与えられ、ベビーベッドで1人で寝る習慣をつけるのが一般的です。また、家族だけでくつろぎ対話する空間として、リビングとは別に“ファミリールーム”も設けられています」
門田「日本の感覚だと、1人で寝るのは寂しくないだろうかと考えてしまい、成長して1人で眠れるようになった頃に、子ども部屋を使い始めるご家庭も多いですよね。アメリカで長年生活されてきた江藤先生から見て、日本の住宅事情はいかがでしょうか?」
江藤氏「家庭によって考え方は様々ですので、子ども部屋で1人寝をするのも、家族で川の字になって寝るのも、どちらも素敵なことだと思います。いずれの場合も共通して言えるのは、リビングやファミリールームのように家族が集い、くつろぎ対話する空間は、家の中に必ずあった方がいいということです」
小沼「最近、日本ではリビングやダイニングに家族みんなが勉強や仕事などに使えるカウンターデスクを備えた間取りも増えていますが、たしかにこういう空間があると自然と家族が集まったり、対話をするきっかけになっているなと実感しています」
江藤氏「家族の対話を生み出すきっかけとして、物理的な環境がなせる技というのは、必ずあると思っています。たとえば『今から話すからみんな集まって!』と言っても、家族全員を集めるのは難しいですよね。しかし、お互いに気持ちよくくつろげる空間があれば、自然と家族の会話ははじまります。スマートフォンやゲームの普及で家族で言葉を交わす機会が減っているので、自然と家族が集まり、自分の視界に入るところにいつも誰かがいる環境は、ぜひ作っていただきたいところです」
のびのびと子育てができるファミリールームの存在
2人のお子様が名門大学に入学し、ご自身も博士号を取得するなど、勉学に意欲的に取り組む江藤さんご家族。子育てにおいて、ファミリールームは非常に大きな存在だったといいます。
江藤氏「ファミリールームにはお客様をお通ししないので、おもちゃやゲームがどんなにあふれていてもいい場所なんです。母親である私自身も『やっちゃ駄目』や『綺麗にして』から解放され、小さな事を気にせず何でも経験する・経験させる場所として非常に大きな役割を果たした場所でした」
小沼「ファミリールームのような家族の集まる空間は、親御さんがしっかりと見守りながらも、生活の中で様々なことを子どもが自ら気づき、経験ができる環境にもなりますね」
江藤氏「そうですね。子どもへの“まなざし”は多ければ多いほどいいと思っています。家族が集まる場所をつくることは、子育てへの参加者を増やす意味でも、子どもたちが主体的に生活へ参加する環境づくりという意味でも、とても素敵なことだと思います」
子どもが主体的に“生活”に参加できる間取り
日常生活には生きる上で重要なヒントがたくさん詰まっています。大人が経験を奪ってしまうのではなく、子ども自身が主体的に“生活”に参加できることが大切だと思います。
江藤氏「もちろん“お手伝い”も大切ですが、できれば子ども自身が主体的に、暮らしや日常生活に参加できるといいと思います。そのためにはやはり、親が料理や片付けなどの具体的な動きを見せながら、子ども自身に気づきを与え、やり方を考えてもらうのが最適です」
門田「『子どもが使いやすい収納を作る』といったようにパーツとしての使いやすさを追求するだけでなく、リビングからキッチンで料理をする大人の姿が見える間取りにするなど、『一緒にやりたいな』『私も役に立ちたいな』と感じられる空間づくりが大切なのですね」
江藤氏「そうですね。家づくりの段階から、子どもが自然と暮らしに関わりたくなるような間取りを考えることで、子どもの主体的な参加を促すことができます。そこからお手伝いを経験して『楽しかった』『お父さんやお母さんに喜んでもらえて嬉しかった』という気持ちが生まれると、より積極的に生活に参加するようになっていくと思います」
門田「ノーブルホームへお家のご相談に来る生活者の方の中にもそういった部分に注目している方が多くいらっしゃいます。私は、営業担当として”ヒアリング”を行うのではなく、子どもが主体的に“生活”に参加できる間取りとはどんな間取りなのかということを伝え”アプローチ”していくことが住宅のプロに求められていると考えています。」
日常生活を通した試行錯誤と学びがこれからの時代を生きる力に
江藤さんが一貫して説いているのは、自ら経験し、考えることの大切さ。日常生活で経験した試行錯誤は、これからの時代を生きる力へとつながっていくそうです。
江藤氏「たとえばカレーを作るのも、材料を考えて購入し、調理して盛り付けるといった、多くのプロセスを経験できます。汚れをそのままにしておくとシミができるけれど、さっと拭いておけば綺麗になる……そういった試行錯誤の積み重ねで、家庭生活は成り立っていますよね」
門田「子どもたちが日々の生活で様々な経験をし、試行錯誤をし、考える視点を増やすこと。それが結果的に個性となり、力に変わっていくのですね」
江藤氏「たくさん勉強して記憶して良い大学に入るという時代は終わりました。これからは自分の頭で考えて試行錯誤した経験こそが、生きる力につながるのではないかと思います」
江藤さんが語る、家族の対話、考える経験ときっかけを与える家づくりの大切さ。使いやすさや快適さを追い求めるだけでなく、どのような家族の対話が生まれ、経験につながっていくのかも考えながら、間取りを決めていく必要があることを教えていただきました。
「家」は、家族一人ひとりを支える大切な場所です。ノーブルホームでは、どのようにしたら家族で一緒に過ごせる時間を楽しく生き生きと心地よく暮らせる住まいになるかを一緒に考え、家づくりを行います。